平田郷陽の生き人形とフィギュア
昨夜、テレビ東京系「美の巨人たち」で平田郷陽(ひらたごうよう)をやってましたね。
(何ヶ月か前の鑑定団に、郷陽の市松人形が出てましたね)
平田郷陽は人間国宝の人形作家ですが、初期は美術展にも工芸展にも出品できず、芸術として認められなかったことも紹介されていました。
紹介されたのは「粧ひ(よそおい)」という作品。
高さ43.8cmの、湯上がりの婦人が鏡の前で髪を結っているところで、薄い長襦袢からは乳房が透けて見える、色香漂う作品です。
私が平田郷陽を知ったのは、中学生の頃読み漁った江戸川乱歩の影響ですが、「生き人形(活き人形)」というものの存在と共に調べてからです。
「生き人形」は等身大の本物そっくりに作られた人形で、マダム・タッソーの蝋人形のように、当時の有名女優に似せて作られたり、見世物小屋など飾られるものでした。
(地元、枚方の菊人形などもこのひとつですね)
江戸川乱歩の「人でなしの恋」は、まさしくこの生き人形を題材にしたものでした。
郷陽は、そのある種色物として扱われていた人形を、芸術の域まで昇華させた訳ですが、現在の美少女フィギュアを考えると興味深いです。
現代アート作家の村上隆氏は、海洋堂のボーメー氏のフィギュアを美術館やベルサイユ宮殿などで発表するという、模型界内部の人間では思いつかないような方法で、アート足りえることの実証を試みています。
ロン・ミュエック (Ron Mueck)もハリウッドのスペシャルメーキャップの流れを汲んでいるわけですが、元特撮マンがアーティストと活動している良い例でしょう。
私などはまだまだ(心に)抵抗がありますが、美術館に郷陽の作品のとなりに美少女フィギュアが展示される日が来るんでしょうか?
(このブログは「恐竜模型の世界」の一部です)
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