いま見る巨人の星
いま関西ローカルテレビのKBS京都で「巨人の星」の再放送をしてるんですが、何気に見だすとこれが面白い!
もちろん小学生ぐらいのときにリアルタイムで漫画もアニメも見てて、その時もコミック全巻持ってたくらいなので、もともと好きなのは好きだったと思います。
しかし、ある時から巨人の星などスポ根モノは、バカ扱いされるようになりました。特に巨人の星は、目がメラメラ燃えるとか、大リーグボールのあり得ない設定、思いコンダラなど嘲笑の的になった時期があり、あまり思い出すことも再放送も無かったと思います。
しかし、そういう漫画やアニメの設定以外に、「勝って兜の緒を締めよ」とか「青春に安全な株を買ってはならない」とか、子供が初めて聞くようなことわざや名言が出てきて、不思議とよく憶えています。
さて、もう60歳を前にして、この小学生の時に見たアニメを改めて見ると、最初に書いたみたいにこれが面白い!
もちろんストーリーや台詞もなんとなく覚えてるせいもあるかもしれませんが、そんな漫画やドラマはよくあっても、全然面白くないものもあります。
でも巨人の星は面白い。いや、むしろ今のほうが、子供のときよりも面白いかもしれません。
アニメの画風、巧緻はふた昔のものなので、今の緻密なアニメには劣る部分もあるかもしれませんが、大リーグボールを投げるフォームや一号を打ち砕く花形の迫力など、いま見てもカッコイイです。
しかし、むしろ面白いのはストーリーというか、原作者の梶原一騎のダンディズムというか、それぞれの登場人物の生き様がとても面白い。
まさに時代劇のような食うか食われるか、生きるか死ぬかの境地で野球をしている。ま、それがまた嘲笑やパロディの餌食になってしまったわけですが、それが一周回って、いまほとんどの人が忘れてしまった、真剣に物事に打ち込む純粋な姿を見せられる思いがします。
先日見た回では、一徹の指導を受けたオズマの見えないスイングによって大リーグボールを打ち込まれた飛雄馬に、川上監督が小手先の作戦を命令しますが、飛雄馬はこれを拒否し2軍に落とされます。このとき飛雄馬は一徹かかつてはなった教えを思い出していました。子供ころ毎朝のランニングでいつもの道が工事で通行止めになっていたとき、遠回りの道、近回りの道があり、飛雄馬はつい近道を選び、その道の先に立っていた一徹が鬼のような形相で叱咤します。「なぜ遠回りの道を選ばぬ!辛い厳しい回り道を選んでこそおのずと成長がある。今後、人生においても野球においても行く手に障害があるときは常に遠回りを選べ。もし二度と近道を選んでみい、そのときこそ星一徹の子ではないと思え!」
これは笑い話でしょうか?いや、これは立派な人生訓です。
子供のころも同じ台詞を聞き、分かったような気になっていても、60前になって改めてこの言葉を聞くと、様々な経験が走馬灯のように現れ、この言葉の真の意味を知ったような気がします。
「子は親を乗り越えて初めて一人前になる」
とは言うものの梶原一騎の価値観はいまや恐竜のように完全に絶滅した価値観かもしれません。
弱肉強食どころかベーシックインカムを希望する世の中。
ホリエモンのようにお金お金お金。修行みたいな遠回りはナンセンス!寿司職人も学校で短期習得!
もし梶原一騎が生きていたらどんなドラマを描いたでしょう。
(このブログは「恐竜模型の世界」の一部です)
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