「恐竜の描き方」 伊藤 丙雄 (画・著)・冨田 幸光 (監修)誠文堂新光社 刊 という本が出ました。
有りそうで無かった、恐竜の描き方です。副題に「ドラゴン&クリーチャーのファンタジー表現にも応用できる」とありますので、その方面(モンハンなど)の好きな方にも良いかも。
著者は恐竜展の図録などでもお馴染みで、復元画を描く上での注意点や考察が書かれていますし、富田先生の監修者からの視点や復元に対する希望も書かれていますので、将来このような方面に進みたい人には参考になると思います。
いろんな恐竜の描き方が絵画の技法書のように画像をたっぷり使って解説されています。
さて、この本が出ると知って、20年ほど前に出版され、買ってなかった「恐竜を描こう」マール社(1992刊)を取り寄せました。
ま、この本の内容は、よくある丸や四角を使って既製の恐竜画を簡単に描くという内容だったので、当時買わなかった覚えがあります。
しかし、恐竜を描くというのはそういうことでしょうか?
ここに動物の描き方の本が何冊かありますが、
現存する動物でも、外観のデッサンから入りますが、より内面を知るために骨格や筋肉の構造が記されています。
人体を描く際にも美術解剖の理解が大切です。
ひるがえって恐竜はすでにこの世にはいませんので、外観は分かりません。分かっているのは骨格だけです。
ですから恐竜を描く場合、まず骨格から、そして筋肉(想像しうる範囲で)、そして皮膚・模様(許容範囲で)と考察していくべきだと思います。と言うかその方法でしか復元できないと思います。
これは工藤晃司 氏の「どうしてわかるきょうりゅうのすがた」(大日本図書 2001年刊)ですが、子供向けの本ながら、ティラノサウルスが化石から復元されていく過程が簡単ですが描かれています。
こちらは小田隆 氏著 真鍋真 監修の「恐竜」(学研 2006年刊)です。
描き方の本ではなく、子供向けの図鑑ですが、骨格の特徴とその復元画が各4ページ見開きで描かれ分かりやすくなっています。
そしてこちらは海外の恐竜アーチストたちが一堂に会して、恐竜のイメージの考察が書かれた「恐竜 過去と現在1・2」(S・J・ツェルカス 著 小畠郁生 監訳 河出書房新社 1995年刊)です。
アメリカで開催されたイベントの記録集で、当代恐竜アーチストたちの過去から現在までの恐竜の復元に対する考察が詳しく書かれています。
これは以前も紹介したことがある「恐竜の復元」(真鍋真 監修 学研 2008年刊)です。少し珍しく、国内外の恐竜アーチストの作品を集めたものです。
各作家の復元スタイルや制作過程が画像やインタビューで解説されています。
これらの本は、狭義の意味で技法書ではありませんが、新しい発見や研究の進歩により学説は変わっていくなど新旧の差こそあれ、恐竜を骨格から復元していくと言う基本は踏襲されています。
これは40年前に出版され私がすごく影響をうけた「恐竜博物館」(小畠郁生 著 光文社 1973年刊)という本ですが、骨格に対応した復元画という、現在でも十分通用する、至極シンプルかつベストなものでした。
願わくば、ここはシンプル イズ ベストに戻って、各恐竜の骨格と筋肉図、復元画(前後横上の4面図で)がセットで、足跡や皮膚化石が残っているものは、そこから類推される復元例や体表の空想カラーチャートまで網羅された「恐竜の描き方」「恐竜の作り方」みたいな本、どっか出してくれませんか?(ま、G・ポールが「恐竜骨格図集」(学研 1996年刊)でほぼやってるんですがね )
さて最初に紹介した本で監修者が大学での「サイエンティフィック・イラストレーション」学科の必要性も書かれてますし、恐竜復元画家の小田隆氏もブログでその必要性を書かれてたと思います。
これは恐竜に限ったことではなく、研究者の考えているイメージを具象化するのは、宇宙・天文・医学などマクロ・ミクロの世界観まで多岐に渡ると思います。
この分野は日本ではまだ未開の分野ですので、今後このような学科が設置されたり、博物館などで専門のアーチストを採用するようになれば、恐竜模型を志しているひとにもきっと希望に満ちたものになると思います。
(忙しいのに、なんでこんな日記書いてるの?と思われそうですが、結構息抜きになるんですよ。「恐竜の疲れは恐竜で取れ!」ってね byセンム)
ありゃ!こんなニュースが!
岡山理大が化石活用で林原と覚書 恐竜学ぶ新コースも開設へ
(このブログは「恐竜模型の世界」の一部です)
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